「セレンディピティ」は、ペルシアのおとぎ話で「セレンディップの三人の王子たち」が語源となっています。これは、ペルシア語で書かれた物語を今から450年以上前の1557年にイタリア語で出版されました。
セレンディップとは、スリランカの古い名前で、父である王の命令により旅に出た三人の王子が、途中で出会う難問を次々と解決し、最終的におもいもよらない幸運を手に入れる物語です。この物語を読んだ、ホリス・ウォールポール(1717〜1797)は、イタリアのフィレンツェ駐在の英国公使ホーレス・マンに対し、 1754年1月28日付けの手紙の中で以下のように綴っています。
"As their highnesses travelled, they were always making discoveries, by accident and sagacity, of things which they were not in quest of: for instance, one of them discovered that a mule blind of the right eye had travelled the same road lately, because the grass was eaten only on the left side, where it was worse than on the right - now do you understand serendipity?"
「非常に豊かな表現の言葉で、これ以上の話題はありませんから、うまく説明してみましょう。そのためには、言葉を定義するよりも、由来を述べるほうが解りやすいと思います。私は以前「セレンディップの三人の王子たち」というおとぎ話を読みましたが、王子たちは旅をしている間に、いつも偶然と英知によって、探してもいないものを発見します。例えば、一人の王子は、右目が見えないラバが自分と同じ道を歩いていた事を発見します。それは道の右側よりも左側に生えている草のほうが質が悪いのにも関わらず、左側の草だけが食べられていたからです。これで、セレンディピティとはなんのことかおわかりでしょうか?」
手紙の内容からは、セレンディピティとは「偶然と英知によって、探していない物を発見する能力」だけを表しています。しかし、ウォールポールが作ったこの言葉には、おとぎ話の三人の王子たちそれぞれが奇跡や大きな幸せを手にしていることから、「幸せを手に入れること」も意味しているようです。 このセレンディピティという言葉に、ぴったりと当てはまる日本語がありません。ですから、当協会では、「セレンディピティとは、偶然見つけたある物(事)に、新たな価値を見出し、奇跡や幸せを生む能力」と定めることにします。誰もが持つこのセレンディピティを向上させると、満足感が得られ、幸福感があふれることでしょう。そして、奇跡を呼び込める事でしょう。